民主法律時報

第1回裁判・府労委委員会の報告

弁護士 原 野 早知子

 労働裁判・府労委での取組について、分析・検討を行うのが裁判・府労委委員会である。今期の第1回を12月3日(火)午後6時から民法協事務所で開催した。弁護士・労働組合等 名が参加した。
 テーマは「裁判所と府労委の判断はなぜ分かれたか~北港観光事件を手がかりに考える~」で、北港観光事件弁護団の西川大史弁護士の報告の後、質疑・意見交換を行った。
 北港観光事件では、組合員の提訴した個別労働事件が全て一審で判決勝訴となる一方、大阪府労委では不当労働行為が認められなかった。判決と府労委命令が同時期であるにも関わらず、完全に結果が分かれた事件である。
 西川弁護士は、裁判の勝因・府労委での敗因を次のように分析した。
・地裁の担当裁判官が会社側証人の信用性を吟味し、個別事件について踏み込んだ判断を行ったのに対し、府労委は簡単に信用性を認め事実認定が杜撰である。
・府労委の事実認定は、文書の記載内容に拘る等、極めて形式的で、実質を見ようとしない。北港観光事件のみならず、最近の府労委の全体的傾向といえる。
 この報告を手がかりに、府労委での闘いについて、次のような意見が出た。
・長期間組合が活動し、府労委でも長期間闘っていると、組合活動の記録が残り、不当労働行為(意思)が認定されやすくなる。しかし、組合活動や会社の組合嫌悪の実績が少ない場合(新しく組合を結成したような場合)、不当労働行為が認められなくならないかという疑問がある。
・労働委員会で勝つことは重要。争議全体の解決の契機になる。しかし、最近府労委・中労委ともに内容が悪く、裁判すると6審・7審になることもある。
・裁判で勝ち、府労委で負けるとなると、手続の選択が難しい。
・府労委問題について、民法協として継続的にまとまって対応する必要がある。
 次回委員会は3月14日(金)の予定である。会員多数の参加を呼びかける。

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