2012年3月28日、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(以下、「派遣法」という)改正案が参議院本会議で可決され、成立した。
そもそも、派遣法改正の議論は、派遣労働者の生活が極めて不安定な状況であることを受けて、緩和される一方であった労働者派遣に対する規制を再度強化するために、抜本的改正が必要であるとして議論が始められた。派遣法の改正は、数多くの労働者の切実な要求であったし、民主党政権の目玉政策の一つとされた課題であった。しかし民主党政権は、政権交代から2年以上も抜本改正に向けた議論を棚晒しにしてきた。
それだけでなく、当初の政府案には、登録型派遣と製造業派遣を禁止する規定があったが、自民・公明両党との合意により、それは削除された。派遣労働者の雇用の不安定さの元凶ともいうべき登録型派遣と製造業派遣が現状のまま許されれば、派遣労働者の雇用の不安定さに歯止めをかけることができず、企業の都合による大量雇い止めが横行することになりかねない。
改正派遣法において、僅かに改正の名に値するのは、①日雇いまたは30日以内の期間を定めた派遣の原則的禁止と②対象業務以外の業務についての派遣・期間を 超えての派遣など、違法派遣の場合に、派遣先企業が労働者を直接雇用したとみなす「みなし雇用」制だけである。
しかしながら、①日雇い派遣禁止にしても、政令で例外を定めることが可能とされているし、②みなし雇用制は法成立から3年後施行とされ、企業の法違反を抑止できない不十分なものとなっている。
これでは、企業による違法な「派遣切り」に歯止めをかけられず、派遣労働者の雇用の不安定さはまったく解消されない。
結局、成立した改正派遣法は、改正の本来の趣旨・目的をほとんど反映しておらず、安定した地位で安心して働きたいという派遣労働者の願いを無視する不十分な内容の法律といわざるを得ない。
民主法律協会は、派遣労働者の雇用安定という改正の趣旨・目的をないがしろにした改正派遣法の成立に断固抗議し、早期に抜本的改正がなされるよう強く求める。
2012年4月27日
民 主 法 律 協 会
会 長 萬井 隆令
改正労働者派遣法に対する抗議声明
2012年3月28日、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(以下、「派遣法」という)改正案が参議院本会議で可決され、成立した。
そもそも、派遣法改正の議論は、派遣労働者の生活が極めて不安定な状況であることを受けて、緩和される一方であった労働者派遣に対する規制を再度強化するために、抜本的改正が必要であるとして議論が始められた。派遣法の改正は、数多くの労働者の切実な要求であったし、民主党政権の目玉政策の一つとされた課題であった。しかし民主党政権は、政権交代から2年以上も抜本改正に向けた議論を棚晒しにしてきた。
それだけでなく、当初の政府案には、登録型派遣と製造業派遣を禁止する規定があったが、自民・公明両党との合意により、それは削除された。派遣労働者の雇用の不安定さの元凶ともいうべき登録型派遣と製造業派遣が現状のまま許されれば、派遣労働者の雇用の不安定さに歯止めをかけることができず、企業の都合による大量雇い止めが横行することになりかねない。
改正派遣法において、僅かに改正の名に値するのは、①日雇いまたは30日以内の期間を定めた派遣の原則的禁止と②対象業務以外の業務についての派遣・期間を 超えての派遣など、違法派遣の場合に、派遣先企業が労働者を直接雇用したとみなす「みなし雇用」制だけである。
しかしながら、①日雇い派遣禁止にしても、政令で例外を定めることが可能とされているし、②みなし雇用制は法成立から3年後施行とされ、企業の法違反を抑止できない不十分なものとなっている。
これでは、企業による違法な「派遣切り」に歯止めをかけられず、派遣労働者の雇用の不安定さはまったく解消されない。
結局、成立した改正派遣法は、改正の本来の趣旨・目的をほとんど反映しておらず、安定した地位で安心して働きたいという派遣労働者の願いを無視する不十分な内容の法律といわざるを得ない。
民主法律協会は、派遣労働者の雇用安定という改正の趣旨・目的をないがしろにした改正派遣法の成立に断固抗議し、早期に抜本的改正がなされるよう強く求める。
2012年4月27日
民 主 法 律 協 会
会 長 萬井 隆令