おおさか労働相談センター 事務局長 宮崎 徹
11月25日(月)、「第1回労働相談学習会」が開催されました。当日の参加者は29名でした。冒頭の主催者代表あいさつで川辺和宏所長は「10月から社会保険の適用拡大が実施され、労働者世帯では、メリットと手取り収入が減ってしまう等々に不安を抱いている方が少なくない。相談も寄せられている。改めて基礎から学習する必要がある。日頃の相談活動に活かそう」と話しました。次に加苅匠弁護士(民法協・大阪法律事務所)から労働情勢報告があり、追手門学院大学の研修で「腐ったミカン」などと言って一部の職員に退職を迫った事件では和解が成立。大学側は3人の原告に謝罪した上で和解金を支払ったことなどが報告されました。
続いて、西矢保さん(社会保険労務士)の講演に入りました。今回の短時間労働者に対する社会保険の適用拡大の内容は、
1.特定適用事業所:1年のうち6カ月以上、厚生年金保険の被保険者の総数が51人以上となることが見込まれる企業。現時点でフルタイムの従業員数+週労働時間数が3/4以上の従業員数が51人以上いるかどうかをチェックすることが必要。
2.短時間労働者の概要:ア.週の労働時間が20時間以上、イ.所定内賃金が8.8万円以上、ウ.2ヶ月を超える雇用の見込みがある、エ.学生ではない
加えて中小企業事業主の負担増も厳しいと指摘。事業主に対して厚労省のキャリアアップ助成金(労働者の賃金を一定以上引上げた場合、一人あたり3年間で50万円)の活用を積極的に考えるよう働きかけることを提案されました。まとめとして、相談に来られる方の状況は千差万別で、よく話を聞いて、その方の状況にかみ合った対応を心がける必要があること、健康保険・厚生年金保険加入の要件を理解する、そのうえで短時間労働者の加入義務化をとらえることが大切と結ばれました。