事務局長 藤井 恭子
厚労省「労働基準関係法制研究会」(略して「労基研」)が、労働基準法改正の議論を続けています。労使の合意によって、労働法による規制を緩和する方向で議論が進められており、労働基準法が「解体」される危険すらあり得ます。労基研のメンバーは全て、労働法や経済学の研究者であり、労働現場の実態や労働者の現状を十分に理解した上で議論が進められているとは言えません。
そのため、民法協は労基研に対して、労働者の立場から「労働者が労働基準法に求めていること」について、強く訴えていきたいと考えています。現在、民法協では、事務局弁護士が中心となって、労働現場の実態などを把握するために、労働組合に聞き取り調査を行っています。また、11月28日には、「職場の実態はこうなっている!緊急意見交換会」をZoomで開催し、労働者、労働組合、弁護士、研究者会員が一堂に会して、労働時間や組合活動の現状を報告しあい、労働基準法改正について意見を交換しました。
聞き取り調査を進めていくと、長時間労働が是正されない現場も多く、また、労働時間は抑制されていても人手不足が解消されないため、労働者の負荷が大きいなど、様々な職場の課題があることが分かってきました。また、労働組合と使用者との交渉についても様々な課題があり、労使合意による規制排除など到底許容できないことが、実態から明らかになっています。民法協では、今後も調査を継続し、実態調査の結果をとりまとめて労基研に訴えたいと考えています。引き続き、ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。